どうくつ酒蔵~戦時遺産の熟成~
2020.07.27
洞窟で熟成される日本酒。
(株)島崎酒造の『どうくつ酒蔵』栃木県那須烏山市。
第2次世界大戦末期に戦車製造のため建造された工場跡地の映像です。
当時の人が掘った穴は全長600m。
敵軍に気付かれないように、入口も目立たない作りになっています。
蒸し暑い外から、洞窟へ入るすぐ 冷たい空気に包まれます。
暖色に照らされた内部は、むき出しの岩を幻想的に映しています。
戦争の兵器工場という緊迫感を全く感じない、ただ ただ静かな空間。
ここで熟成さえる日本酒は
・熱処理を1度だけにし 酒質の変化を最小限に抑え。
・日光が当たらないので 太陽光線による性質の変化を受けず。
・季節の温度差±5℃、温度による変化も受けない。
・平均温度10℃は、熟成に適し、瓶内での対流が起こり品質が均一に。
熟成に最適な環境、さらに、その環境活かす製法で作りだす一瓶。
もちろん、雰囲気と説明にほだされ、購入しお持ち帰りしました。
家に辿り付くなり まだ現地の印象を記憶に残したまま、口に運びます。
『麹の発酵が物凄いことしたぁ、これが熟成かぁ~!』
勘違いかもしれませんが、心からそう思える美味しさでした。
悲惨な戦火の中で「兵器をつくる」ために掘られた洞窟、
それが今では「嗜好品をつくる」ための洞窟へ。
そんな事を考えていると、また一味違って感じられてしまいます。
平和な時代の「どうくつ酒蔵」、深く想うことできる味となりました。